六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
岡崎 瑛
太一が途中で連絡してくれたおかげで、
家に着いたら、もうお風呂が沸いていた。
「清良、一緒に入ろう。
風邪ひいちゃう」
「えっ、見ちゃうけど良いの!?
ラッキー!」
「もう、冗談は良いから」
というわけで、うちの唯一自慢の大きな湯船に、清良と一緒に浸かった。
「清良ぁ……」
「ん?」
「まだ学校のはずでしょ?
なんで、太一も一緒にあそこに来たの?」
「うん、その話は後。
おじさんとおばさんからするから」
浴室の中に、清良の困ったような声が反響した。
「あの人は知ってる?
肌も髪も白い、紫の瞳の……」
「あぁ、一緒にいたイケメン?
わかんないんだよね。
知らないし怪しかったから、太一が追い払ったわけだけど」
太一が……。
やっぱり、あの鷹は太一のなんだ。
でも、あの人はあの鷹を『式神』と言った。
サングラスの男と同じように。