六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
そうだ。血は繋がっていない。
だけどあたしにとって彼は、大事な弟なのだ。
「太一のバカ……」
「そう言ってあげなさんな」
「だってあいつ、
あたしの大事な弟をどこかにやっちゃった……」
「だから……向き合ってあげなよ。
太一の素直な気持ちに。
それに……自分の気持ちにも」
優しい清良の声に、涙が引っ込む。
「自分の……?」
「全くどいつもこいつも、過酷な恋ばっかり選んじゃって」
はぁ、と清良のため息が前髪にかかる。
「あたしは、まりあの味方だよ。
相手が誰でも」
「……清良……」
「だから、逃げるのは終わりにしよ?
このままじゃ、アンタも太一も中途半端で良くないよ」
「清良、わかってるの……?」
「そりゃーあれだけ熱く見つめてたらね。
だから太一も焦ったんじゃない?」
「……バレバレ?」
「うん。」