六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
あたし達の後に太一がお風呂に入って。
全員が居間に集まった頃には、既に正午を回っていた。
雨は少し小降りになってきたみたいだ。
皆がテーブルを囲むと、お母さんがお茶を出してから最後に座った。
「さて……とりあえず、まりあの話を聞こうか」
お父さんが言うと、皆があたしの方を見た。
あたしはさっきあった事を順番に説明する。
そう言えば、午前中に感じていた吐き気はどこかへ行ってしまった。
次々にわけのわからない事が起こったからだろうか。
「そうか……。
知らないメガネの男に連れ去られそうになり、銀髪の若者が助けてくれた、と……」
「お父さん、あの人が誰だか知ってるの?」
「まぁ、順番に話をしよう」
お父さんはお茶を一口飲んで、息を吐いた。