六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


あたし達は屋敷の敷地全てを、シラミ潰しに探した。


「瑛さん!清良さんは!?」


「いない……クソッ……」


「まさか、結界が何の抵抗も無しに破壊されるなんて……」


道場に戻ってきたあたし達は、誰一人清良を見つける事ができなかった。


アキちゃんも疲れたように、あたしの足元でぐったりしている。


まだ整わない息をしたまま、空を見上げた。


清良……どこに行ったの……?


「……あ……!」


遠く、曇り空の彼方から。


キラリと、赤い光が尾を引いて流れるのが見えた。


夢で見た、赤い星――。


しかしそれは、星ではなかった。


赤い光は奇妙な高い音を立てながら、

空からこの地上に墜ちてくる。


あたしの、上に……


「まりあ!」


瑛さんが、あたしの手を引いて引き寄せた。


その瞬間、足下でドスリという音がした。


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