六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「単刀直入に言おう。
まりあ、お前は私の娘じゃない」
「……はい?」
お父さんがいきなり言った一言は、あたしの耳を右から左に抜けていった。
「まりあ、ちゃんと聞いて」
お母さんが真剣な顔をする。
どうやら冗談じゃないみたいだ。
「そんな……」
「お前は、代々続く夢見(ゆめみ)の一族、音羽家からの養女なんだ。
産まれた時から、この安城家に寄越された」
「養女って……どうして……?」
頭が痛くなってきた。
いきなり、何を言い出すんだろう。
あたしが、この家の子じゃないなんて……。
「まぁ、聞け。
夢見というのは、夢で物事の吉凶を占う、占い師みたいなものだ。
お前の母君も、その夢見だった」
「占い師……」
「母君がお前を産んだ時にした予言が、
今回の事の始まりだった」
お父さんは、遠い目をした。