六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
よく寝たせいか、お腹がギュルルゥと鳴る。
それを聞いて、瑛のヤローは「ふっ」と一瞬笑いやがった。
きっと、「寝れないとか繊細ぶっておいて何だよ」とバカにしてるんだ。
もう!!
「いただきます!」
「お、いい食べっぷり」
どいつもこいつも、他人の乙女心を無視して!!
最近二人に翻弄されっぱなしのあたしは、怒りをぶつけるように牛丼をかきこんだ。
「姉ちゃん、相談なんだけど」
「何よ。お茶ちょーだい」
「はい。瑛さんと話したんだけど……
ほら、あの留学生いるじゃん」
「オーリィの事?」
本当に忘れてた。
地元にも一人、あたしを翻弄する人がいた。
「あいつ……呼ばね?」
「は?」
「助っ人、してくれるんだろ?」
「でも……」
伊奈が同行を許可したのは、瑛さんと太一だけ。
オーリィを連れていったら、清良の命が危険に陥る。