六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「こちらへ」
男に続いて、エレベーターに乗り込む。
するとエレベーターは、下に下がりはじめた。
階数のボタンを見ても、地下を表示するボタンは無いのに。
しかし、もう驚く事も少なくなってきた。
このところ驚きの連続で、今までのあたしの常識内で事態が運ぶ事などないと、
どこかで理解しているんだろう。
しかし、心臓は次第にドキドキと脈打ちはじめ、手のひらに汗がにじんでくる。
驚きはしないけど、怖いには違いないのだ。
ただ二人の仲間の体温を近くに感じる。
それだけが、あたしがまっすぐ立つための支えとなった。