六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「簡単に言えば……
まりあ、お前が17歳になったら、
母君から受け継いだ夢見の力が開花する。
その力は、代々の夢見の中でも、
開祖に値するほど強くなるだろう。
それ故に、様々な輩に命を狙われる事になる。
……という予言だ。
母君は、お前を危険から守る為に、この安城家に養女に出した」
「…………」
そんな、漫画みたいな話。
いつもなら、笑っちゃうけど。
目の前で、あのサングラスの男が紙切れになったり、
銀髪の彼が一瞬で姿を消すところを見てしまったから。
頭の片隅で、これは現実なのだと、理解している自分がいた。
「でもあたし……命を狙われるほど、特別な力なんて……」
「誕生日が来たばかりだからな。
これから開花するかもしれない」
「何で……何で、本当のお母さんは、
自分であたしを守ってくれなかったの……?」