六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
それは、岡崎一族の印……。
瑛さんの表情が歪む。
「これがどういう事かおわかりですか?」
伊奈が静かに口を開く。
「伊奈、いや美合孝太郎。
お前が我が一族の者だった事は知っている」
「そうですか。
知っているなら話は早い。
私は貴方と同じ出身です。
けれど、貴方と違うのは、私は純血の一族ではないということです」
伊奈はメガネをかけなおす。
「夢見姫もご存知でしょうね。
岡崎一族の事は」
「……少しだけです」
「……本当に……ひどい民族ですよ、彼等は」
その片方だけの紫の目に、冷たい光が宿った。
「彼等のような者達がいる限り、この国はいつまでたってもまとまらない。
だから絶対的な神が要るのです」
「ちょっと待てよ。
なんで岡崎一族と姉ちゃんが神様にされるのと関係あるんだよ。
わかりやすく説明しろよ」
太一がうなった言葉は、あたしの言葉でもあった。