六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「だから、まず岡崎一族のような者達を滅ぼし、
その力を見せつけて、この国を統一しましょう」
「何ですって……?」
「貴女達は言いましたね。
政治は、人が人の手によって動かすものだと。
それは私もそう思います。
その為にはまず、金で買われて歴史を動かす者達を、抹殺しなければならない」
「そんな……」
「教えて差し上げなさい、岡崎瑛さん。
貴方達一族が、歴史の中でどれほどの弱者の血を流させてきたのか」
瑛さんは黙ったまま、何も言わない。
伊奈はそれを見て、薄く笑った。
「夢見姫、こんな一族の者に護衛の依頼をする兄君も、
どうかしていますよ。
貴女の力を音羽家だけのものにしておきたい。
ただそれだけで、手段を選ばない」
あたしの力の為に、手段を選ばない……。
そんなはずない、留衣さんはあたしの実のお兄さんだもの。