六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
言い聞かせても、胸に不快感が広がっていく。
皆、みんな……
あたしの力が欲しいから、そばにいるの……?
「必要無いんですよ。
忍も、陰陽師も、侍も、星見も、貴女以外の夢見も。
彼等は今もこの国に巣くって、
権力者達の犬になり、余計な血を流させる。
だから、音羽家の【夢見姫】が奇跡を起こし、
その者達を屈伏させましょう。
この国の真の革命、真の平和は、そこから始まるのです」
さぁ、と伊奈が手を差し出す。
「私と共に……この国を導いてください、夢見姫」
頭がクラクラする。
そう言われれば、そんな気がしてきてしまう。
未来を、占いなんかに頼るのは間違ってる。
思い通りにならない人の事を探り、騙したりするのも間違ってる。
権力者の言うなりになって、血を流す事も……。
何も返事ができないでいると、太一が大きな声で反論した。