六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


すぐに二人の額に汗がにじむ。


「っそ、あいつ、どっからそんな霊力が沸くんだよ!」


そうだ。太一の言う通り、どんな術者にも限界があるはず。


なのに伊奈は表情1つ変えず、太一や瑛さんには疲労が見えはじめる。


「姉ちゃん!」


いつの間にか、式神があたしの目の前に来ていた。


「こちらへ……夢見姫!」


つかまれそうになった手から、思わず飛び退く。


「アキちゃん!」


名前を呼ばれたアキちゃんは、何もなかった空間から姿を現す。


「アキちゃんお願い!」


霊力を送ったアキちゃんは、その体を銀色に輝かせ……。


大きな狼と化し、鋭い牙で式神の体を噛み砕く!


「やるじゃん姉ちゃん!」


は、初めてうまくいった……。


そんな事に浮かれている暇は、もちろん無い。


「アキちゃん、清良を助けて!」


叫ぶと、アキちゃんは天井に届くくらい、高く跳ねた。


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