六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


式神の頭の遥か上を跳び、清良の足元に着地する。


アキちゃんはあたしが念じたまま、

その鋭い牙で清良を拘束している縄を噛みちぎろうとする。


しかし……。


バチバチバチ!!


何かがスパークするような音がして、アキちゃんに襲いかかる。


それは、縄に込められた呪いの抵抗。


気づいた時には遅かった。


「にゃあぁぁっ!!」


「アキちゃん!!」


呪いの有刺鉄線でしめつけられたアキちゃんは、

猫の姿に戻ってしまう。


「まだまだですね、夢見姫!」


伊奈の低い声が響く。


アキちゃんの小さな体がギュウギュウとしめつけられ、

苦しげな鳴き声が聞こえた。


「アキちゃん!」


「使い魔の心配をしている場合ですか?」


ハッと二人の方を見る。


「クソッ……うぜぇ!」


太一は次々に沸く式神に、相変わらずお札を投げつける。


しかし疲れてきた彼に式神は容赦なく近づいた。


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