六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


太一は攻撃するまでに、真言を唱えなきゃならない。

接近戦は不利だ。


「太一!」


そう思う間に、太一は式神にぐるりと囲まれてしまう。


何とかしなきゃ、そう思った時だった。


「ちっ!」


舌打ちが聞こえて、振り返る。


そこには、同じように式神に囲まれた瑛さんがいた。


まだ、こんなに力の差があるの……!?


式神は刃となった手で、二人を切りつける。


「!!やめてっ!!」


太一は結界をはって防ぐが、それがすぐ破られそうに、傷つけられる。


瑛さんは炎の幻術で式神を遠ざけるが、

そこへ伊奈が放った札のナイフが降り注いだ。


刃が二人の体を傷つけ、彼等の顔が苦痛に歪む。


「やめてっ、やめて!!」


駄目だ、これじゃ前と同じだ。




……あたしが、何とかしなきゃ!!



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