六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
痛みで霞む視界の端に、アキちゃんが確かに立っているのを見つける。
痛いなんて言ってられない!
皆だって、痛いんだ!
「アキちゃん、お願い!!」
叫ぶと、アキちゃんは咆哮を上げる。
空間全体を揺さぶる振動に、式神達がたじろいだ。
その一瞬でアキちゃんはまた高く跳び、
二人を取り囲む式神を順番に撥ね飛ばし、噛み砕いた。
式神は次々にただの紙となる。
「すげ……っ、姉ちゃんの力か!?」
「ほう……。見くびっていましたね」
はぁ、はぁ、と息が乱れる。
これが、霊力を消耗するということ……。
あたしはやけに重たい自分の体で、ようやく理解した。
何人もの式神を滅ぼしたアキちゃんが、狼の姿のままあたしに寄り添う。
「アキちゃん……清良を……」
「待て、まりあ!」
名前を呼んだ声に、思わず視線を奪われる。