六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「あまり無茶な使い方をするな。
忘れたのか、大昔の夢見姫の話を。
力の使いすぎで死んでしまった哀れな姫を」
瑛さんの声には悲痛さが混じっていた。
「……大丈夫です」
まさか、心配してもらえるとは思わなかった。
それだけで、大丈夫な気がする。
瑛さんが、あたしを心配してくれた……。
「アキちゃん、清良を助けて!!」
お願いすると、アキちゃんは喉を鳴らし、足元に屈む。
『乗れ』という声が聞こえた気がして、アキちゃんの背中に跨がった。
「まりあ!」
瑛さんの制止も聞かず、アキちゃんは跳躍する。
清良の目の前に躍り出た時、アキちゃんの牙は一枚のお札に阻まれた。
「させませんよ!」
伊奈が、あたし達の目の前に立ちはだかったのだ。
「面白いものを見せてくれてありがとうございます。
しかし少し、目障りですね」