六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「アキちゃん!
太一と一緒に、式神を防いで!」
うなずいたアキちゃんは、あたしの前に出る。
ちょうど太一とアキちゃんの間に、式神が集まった。
「清良、返事をして!
起きて清良!」
十字架に向かって叫ぶが、清良は返事をしない。
思い切って手を伸ばすと、十字架に触れた途端に、
そこに込められた呪いの力で跳ね飛ばされた。
「姉ちゃん!」
「っ、大丈夫!」
痺れが走る全身を、なんとか立ち上がらせる。
この呪いを、何とかしなきゃ……!
清良の閉じた瞼を見て、ふと頭に浮かぶ。
一応護身用に持ってきた、ポケットの中のスタンガンが。
「清良、今助けるから!」
背後では式神達のうめき声や、
太一の真言を唱える声、アキちゃんの咆哮が聞こえる。
そして、伊奈の鞭がしなる音と、応戦する苦無がぶつかりあう音。
もう、猶予はない。
スタンガンを取り出し、一心に祈る。
「……中和して!!」