六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「やった、すごい清良!」


これで式神はほとんどいなくなったから、瑛さんを助けなきゃ。


そう思った時、伊奈がこちらに向かって口を開いた。


「……約束を破りましたね、夢見姫。

その男は前にも私に傷を負わせた……!」


明らかな怒りが、全身から吹き出している。


鞭を構えたその姿の向こうには、

傷だらけになりながら何とか立っている瑛さんが見えた。


「約束って。

アンタが一方的にとりつけたもんやんか」


「……貴方は何者ですか」


「僕?僕は可愛いただの留学生やで♪」


オーリィがのらくらかわすうちに、太一と清良があたしに駆け寄る。


「キミら、まりあを連れて先に逃げや」


「えっ、オーリィ?」


「オッサン、相当頭にキテるからな。

キミが巻き込まれたら元も子もないやん」


そう言って、にこりと笑う。


「良いでしょう……話さないのなら、消すまでです!」


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