六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
ガリガリと床をえぐる騒音がして、その跡には……。
なんと、巨大な五本の指の形のような溝が残っていた。
「すげえ……」
太一がこぼす。
清良とあたしは絶句してしまった。
なんていう破壊力……この人が敵になったら……。
「瑛、大丈夫か!」
オーリィが叫ぶと、瑛さんがハッと顔を上げる。
そして、傷ついた頬でにやりと笑った。
「オッサン、覚悟せい!」
また強力な一撃を放とうと、右腕に力が集まる。
「……同じ手は通じませんよ」
伊奈は鞭を構える。
「どうかいな!!」
オーリィの右腕から、もう一つの腕が伸びる!
「ただ大きいだけじゃ、私は殺せませんよ!」
横に飛び退いて向かってくる伊奈に、オーリィが言い返す。
「そやな!これならどうや!」
「!?」