六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
オーリィが冗談めかして言った言葉に、清良が笑った。
あたしは顔から火が出そうになる。
「ち、違くてね、だって、
すごい、怪我してたから、
その、人命が、第一って言うか」
「はいはい。
いいから行ってきたら?」
「あぅ……」
「元気な姿見せたり。ほら」
あわあわしてるうちに、二人に背中を押されて、
部屋から追い出されてしまった。
「もう……」
煽られると、ムダに緊張してしまう。
手ぐしで髪をとかしながら長い廊下を歩いていると、
見慣れた人に出会った。
「やあ、元気そうだね。
安心したよ」
「留衣さん!」
留衣さんはにこにこと笑っていた。
「大活躍だったそうだね。
兄として鼻が高いよ」
「いえ、夢中だっただけで……」
「そう。でもすごいよ。
よくやったね」
留衣さんは大きな手で、あたしの頭をなでた。
「え、えへへ……」