六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「じゃあ何故、思考停止したんだ……?」
「……単に、ビックリしたんじゃないですか?」
「ビックリ……。
そうか……」
瑛さんは納得したようだった。
あたしは1つ、気づいてしまった。
ぜっっっったいモテない、この人。
わけわかんなすぎる。
「た、太一、まだかなぁ……
お手洗いに行ってるんですけど。
あたし、付き添いの代理で……」
変な空気をごまかすように、話題を変えた。
瑛さんは相変わらずタコのようなあたしの顔を見て、
首を傾げながら言った。
「お前、そう言えば体調はどうだ。
どこか悪いんじゃないか?」
「だ、大丈夫です。
ほら、ピンピンです」
あたしは明らかに、他のメンバーより怪我が少なかった。
ところどころに絆創膏が貼ってあるだけ。
「そうか……。
しかしまさかお前に、助けられるとは」
「え?」
「最後に俺に力を与えたのはお前だろう?」