六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
お兄たんたち【アキ】
アキラとぅ(父)たんと、まりあたんが、構ってくれないから。
ボクは勝手に部屋を出てきちゃった。
そうしなきゃ、またとぅたんの手をカプッと噛んじゃいそうだから。
とぅたんのバカ。
まりあたんをいつもいじめて、悪いやつ。
ボクはまりあたんが大好きだから、本当はとぅたんと二人にはしたくない。
けど、まりあたんはとぅたんと二人がいいみたい。
何でかなー、とぅたん意地悪なのに。
てこてこと歩いて行くと、すぐそこの角に人影が見えた。
ボクは気配を消して、近づく。
誰かなぁ……。
「……あれは、あかんな」
「……オーランドさん、やっぱり俺……」
「やめとき。
二人きりにしたお前の負けや」
「だって我慢の限界だったんすよぉ」
あ、金髪兄たんと太一兄たんだ。
何話してるのかなぁ。
ボクは聞き耳を立てる。