六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「この国は興味深いからなぁ。
しばらく色々研究してから、帰るわ」
へぇ、と清良はうなずく。
しかし、あたしの胸には違和感が残った。
そんなにあっさり、諦められるものなのだろうか。
あたしの力の片鱗を、確かに目の当たりにしたのに。
伊奈や岡崎一族の事を調べたり、戦いに手を貸してくれたり……。
いい人だからというだけで、やってくれたとは思えない。
「とすると、本当に俺は御役御免ですね」
クセのある声に、全員が振り向いた。
「危険がないなら、俺がここにいる理由はない」
「そうっすよね、ないっすよね」
「それはそうだ。
また何かあったら頼めばいいか……」
太一と留衣さんがあっさり納得。
ちょ、本当に?
こんなあっさりお別れなの?
すると清良が、無理やり話題を変えるように声を出した。