六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「あーあーあのさ、ホラ、先に夢の話は?
また特殊な夢、見たんだよね?」
「特殊な夢?」
留衣さんと太一が食いついてきて、瑛さん引退騒動は一旦おさまる。
「あの、予知夢じゃないんですけど……」
あたしはお母さんの夢の事を話した。
「力を封印した方がいいそうです。
でなければ、
本当に【六花の翼】を出現させなければならないような困難が訪れるとかで……」
「えーそれ、あてになるの?
予知夢じゃないんだろ?」
太一がうんざりした顔で言う。
誰も彼も、もう戦いたくないからだ。
「いや、その提案は良いかもしれない」
瑛さんが珍しくあたしの言う事に同意する。
「そもそもその特殊な力が、良からぬ事を企む奴らを引き寄せているんだから。
封印というのは、良い手だと思う。
力がなければ、もう狙われる事はない。
どうでしょう、留衣さん」