六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
留衣さんは腕組みをしてうなってしまう。
「しかし、それでは音羽の夢見姫の血が絶えてしまう……」
「留衣さん……」
胸がザワリと音を立てた。
やはり留衣さんは、
あたしをこの家に閉じ込めておきたいのかもしれない……。
古代から存続し続けた、【夢見姫】の家系を自分の代で途絶えさせるのは、
そりゃあ少しは罪悪感があるけど……。
「……しょうがないか。
妹の安全が一番だ。
……しかし封印の前に、一人だけ女の子を産んでくれないか?」
「ええええええ!?」
「嘘、冗談だよ。
将来の僕の子に望みを託すしかないか……」
珍しく留衣さんがうなだれてしまった。
全員が微妙な顔をする。
あたしは正直、自分の娘が夢見姫になるのなんて絶対に嫌だから、
そんなの絶えてしまえばいいと思う。
けど、この若さで必死で家を守っている留衣さんにしてみれば、
へこむのもしょうがないかもしれない。