六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
ふざけたオーリィを、清良がコラッと叱った。
「あたしは、封印します。
こんな力、いらないもの……」
そのせいで、どれだけ仲間が傷を負ったか。
「ついでに言えば、
夢見姫を継がせるためだけの子を産む気もありません。
いくら念力で授かる事ができるからって……」
「そうよねぇ。
それは本当にありえないわ」
大昔から夢見姫は、外に出られなかった。
特定の人のものになれば、その人が命を狙われる。
悪い企みを持つ者に、騙されたりさらわれたりしないためだ。
だから恋人ができる事もない。
だから……子供を授かる事もない。
「もー瑛、何でも良いから、早く封印しちゃってよ」
「なんだその投げやりな意見は。
しかも何故俺なんだ」
「だって、まりあのママからのご指名じゃない」
それはそうだが、と瑛さんはブツブツ言った。
そんなに、帰りたいのか……。