六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
翌朝。
やけに早く目が覚めてしまったあたしは、台所にいた。
清良はまだスヤスヤ寝てる。
「すみません、姫様」
「だから、大丈夫ですって!
わ~、やっぱり良い香り~」
留衣さんの家は、うちよりよっぽど良い材料が揃っている。
高級な天然鰹だしの香りに、気分が明るくなる。
「姫様は、お料理がお好きなんですね」
お手伝いの女性は、困ったように笑った。
そんな時……。
プルルル。
台所の内線電話が鳴った。
「はい」
女性がそれに出る。
そして二言三言としゃべると、受話器を置いた。
「すみません姫様、玄関にどなたかいらしたようで……。
少し様子を見てきてもよろしいでしょうか?」
「あ、大丈夫ですよー」
では、と言って女性は行ってしまった。
もう朝食の準備もほとんど済んじゃったし、
あとはお味噌汁の味噌を溶かすだけ。