六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
のんびり味噌を溶かして、火を止めた時。
女性が戻ってきた。
「あの、姫様」
「はい?」
「岡崎様にお会いしませんでしたか?」
「はい?今朝は会ってませんよ」
「そうですか。
うーん……」
困った顔をして、彼女は考えこむ。
「瑛さんがどうしました?」
「いえ、岡崎様にお客様なんですけど、
お部屋にいらっしゃらないから……」
「瑛さんに?」
お客様って、一体誰?
それも気になったけど。
いるはずの部屋にいない。
それがあたしの胸を波立たせた。
「じゃあ、あたしが探します。
使い魔を使えば楽勝ですから!
どうぞ、お茶の準備をしてください」
「ああ、姫様……。
申し訳ありません、ありがとうございます」
あたしはアキちゃんを従え、台所を出た。
しかし、こんな朝早くから、一体誰なんだろう。
急な用事なのかな?
もしかして、岡崎一族の人?