六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
出た、許嫁……!!
しかも、めちゃくちゃ綺麗……!!
あたしは完全に引いてしまい、
座る清良の隣に、隠れるように身を寄せた。
「……綺麗やなぁ……」
オーリィが、ため息混じりにこぼした。
夏らしい、薄い水色の着物は彼女にとてもよく似合っている。
「……なんか、世の不公平さを感じる……」
太一は瑛さんをにらむ。
「あぁと……とにかく、朝食にしよう。
琴さんも一緒に」
いつも冷静な留衣さんでさえ、少し戸惑っているようだった。
あたしは逃げるように台所へ抜け出し、給仕を手伝う事にした。
とにかく、動いてなきゃ……。
思考が止まるのが怖くて、あたしは働き続けた。
ようやく準備が整い、テーブルにつくと……。
「あの」
琴さんが口を開いた。
「こちらでは、下働きまで一緒にお食事されるのですか?」
「へ?」
彼女は明らかに、あたしをにらんでいた。