六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
責めるように瑛さんが言うと、琴さんは悲しそうにうつむく。
「だって、やってみたかったんですもの、
『サプライズ』というのを……」
「さ、サプ……?」
「きっと喜んでくださると思って……」
「わ、わかった、わかったから。
留衣さん、すみません。
中座します」
瑛さんは汚したテーブルもそのままに、
泣きそうな琴さんの手を引いて、部屋から出ていった。
「……なに、あれ」
清良が冷たい声を出したが、男どもは誰も反応しなかった。
なによ、皆デレッデレしちゃって。
「全員死ねっ!」
「清良さん、それは言い過ぎ」
「……皆、バチ当たれ……」
「姉ちゃん、やめろ、マジで念じるなよ!」
何よ、ムッツリ忍者。バカ忍者。
女二人が最高にカンジ悪く、
今までで最高に微妙な食事の時間が流れていった。