六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
蔵の中は、相変わらずほこりっぽかった。
今回は留衣さんから鍵を預かっているから、あっさり中に入れた。
「せっかくだから、掃除しよっか」
「にゃあ~」
アキちゃんは自分は関係ないと言うように、あくびをする。
「もう!」
掃除道具は持ってない。
辺りを見ても、それらしきものはない。
きっとお手伝いさん達も来れない場所なんだろう。
「よーし」
あたしは得意のお祈りポーズをした。
(綺麗になれ……!)
ふわり、と埃(ほこり)が床から浮かぶ。
うん、だいぶ上手になってきたんじゃない?
(埃さん、蜘蛛の巣さん、カビさん、
申し訳ないけど、お引っ越ししてください……)
そう念じると、入口から一列になった蔵の汚れがふわーっと出ていく。
「お~、便利……」
それを見送ると、
綺麗になった床を、アキちゃんがカリカリ引っ掻いた。