六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
そうだ、この前もここに触れた時に、地下に続く扉が現れたんだっけ……。
膝をつき、そっとアキちゃんの前足の横を、指でなぞる。
(開いて……)
すると、何もなかった床に、黒い鉄の枠が現れる。
前にも一度見たその扉は、ゆっくりと自らの体を開く。
「わぁ……」
扉の下には、地下に続く階段があった。
それを降りていくと、またまたほこりっぽい空間が姿を見せる。
(もう……。綺麗になれっ!)
やけくそで念じると、
また埃たちは開いた扉からふわわ~と浮いていった。
そして、ようやく。
その地下室の全容が見える。
「広っ!」
下手な市立図書館くらいの広さがある。
それは蔵の大きさから想像できなかったほどだ。
ズラリと並んだ棚にも壁にも、
ギュウギュウに本や資料が詰め込まれている。
「えぇ~……」
あたしは早速くじけそうになってしまった。