六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
パラパラとページをめくっていくと。
『登喜』
その名が視界に飛び込み、指が止まる。
「あった……」
文は漢字とカタカナでかなり読みにくいけど、まだ何とかなりそうだ。
「えっと……。
登喜……十六ニシテ長女・篤(あつ)ヲ授カリ……」
その後、三人の娘と一人の息子を産む。
そして……。
「……二四二シテ、婿ヲ迎エル。
妹ノ紗己(さき)、夢見姫ヲ継承ス……!」
婿……!
夢見姫が、結婚していた……!
「……そんな……」
机に本を広げたまま、想像を巡らす。
もしかして、この登喜さんは……。
「!」
不意に頭上から足音がして、思考は中断された。
「……めぼしい資料は見つかったか?」
「瑛さん……」
「入口が開いていた。
不用心だな」
「あ、すみません……」
「もう閉めてきた」
地下に続く階段を降りてきたのは、瑛さんだった。