六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


瑛さんが、琴さんを見送った後、ここに来てくれた。


それだけで、じゅうぶんな気がした。



「……これは……」


呟く声に、ハッとする。


そうだ、巻物やら本やらを出しっぱなしだった。


「ふうん、やはりか」


「えっ?」


「大体、予想はついていた」


瑛さんは本の方を勝手にパラパラとめくる。


「予想って……」


「力の封印の方法だ。

封印と言うより、消滅させると言った方が正しいのか……」


本を見ていた瑛さんの目が、不意にこちらを見るから。


心臓がドキリと音を立てた。


銀の前髪の間から、紫色の瞳がのぞく。


「留衣さんが渋るわけだ。

やはりあの人は、方法を知ってて言わなかった」


「それって……」


「これを見たなら、お前も気づいただろう?

結婚した夢見姫が、死んでもないのに突然交代している」


「…………」


という事は、やはり……。


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