六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
全員の目が、銀髪の彼に集中した。
しかし当の本人は、涼しい顔を崩さない。
『もうすでに、まりあを襲う連中がいるそうですね』
「はい……」
『貴方達を信用しないわけではないのですが、僕も何もしないわけにはいきません。
だから、彼をまりあの護衛として送りました』
「ご、護衛っ?」
やっぱり、最初に林に引き込んだのは、
あの車の人達から守ろうとしたからだったんだ。
「彼は……」
『彼は、岡崎瑛(おかざき・あきら)。
忍(しのび)の、岡崎一族の末裔です』
岡崎、瑛……。
式神だなんて言わなくて良かった。
忍って、忍者のこと?だよね?
本当に、生きた人間なんだ……。
『まりあを彼と一緒に、一度音羽家へ寄越していただきたい』
「えっ?」
『勝手な事を言っているのは承知です。
ただまりあに一度、母に手を合わせていただきたいのです。
母は最後まで、まりあを案じていましたから』