六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
留衣と呼ばれたその人は、寂しそうな目をした。
お母さんが、あたしを案じてた……。
『ついでに、僕から音羽家について詳しい話をしましょう』
「……まりあ、どうする……?」
お父さんがあたしを見つめた。
その瞳は、行ってほしくなさそうだけれど。
お母さん……。
あたしを産んだ実のお母さんの事を知りたいという気持ちが、むくむくと膨らんでしまう。
「……行きます……。
1日だけですよね……?」
『あぁ。こちらに長く留まると危険だからね。
用が終われば、すぐ瑛に送らせるから』
銀髪の彼は小さくうなずいて、あたしを見た。
作り物のような、綺麗な瞳で。
話が終わると映像は消えて、ただの紙切れになった。
そこで太一が一歩前に出た。