六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
琴の来訪は、本当に予測していないものだった。
誕生日だというのは嘘だが。
俺の誕生日は、先週とうに過ぎた。
気がついたら、過ぎていた。
もう、18歳になってしまった。
この仕事を終えて村に戻れば、
俺は琴と結婚しなければならない。
『本当に、可愛らしい人ですね、夢見姫は』
『そんなことより、いったい何をしに来た。
本当のことを言え』
朝食を中座した後、琴は部屋でそんな事を言った。
『貴方が忘れていないか、確認をしにきたのです。
一族から課せられた、もう一つの任務を』
『おい……!』
『大丈夫、今結界をはりました。
どうしました?
何をそんなに慌てているのです?』
琴はまっすぐに、俺の目を見つめてきた。
『……星が教えてくれました。
貴方の星の力が、弱まっているのを』