六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「俺も行く。
こんな怪しいやつと姉ちゃんを二人きりにさせられるか!」
「あたしも!
アンタ、まりあに抱きついたんだって!?」
「な、何だって!?おい、本当かよ!?」
太一と清良に責められた彼は、
うざったそうな目をむけ、口を開く。
「誰がこんな色気のない女に、好んで抱きつくか。
任務遂行のため、仕方なくだ」
…………。
綺麗な顔から出たのは、とんでもない毒舌だった。
全員が、呆気にとられる。
「コイツに霊力を込めたスタンガンを渡したのは誰だ?」
「あ、あたしだけど」
「お前バカか?あんな代物、こんな素人に渡すな。
当てられたのが並みの人間だったら、死んでるぞ」
し、死……っ!?
清良、そんな危険なモノをあたしに渡してたの?
清良はバツが悪そうに、モゴモゴと口を動かすだけだった。