六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
清良が止めてくれなければ。
俺はまた、彼女を泣かせてしまうところだった。
どうしようもない。
結局は、突き放す事しかできないのに。
俺が、岡崎瑛でなかったなら。
彼女が、夢見姫でなかったなら。
まだ、救いがあったのだろうか。
これから起こる悲劇を、回避できたのだろうか。
お前なら、許してくれると思った。
そんな戯言を、俺はいつまで使うつもりなのだろうか。
これから俺がすることを、彼女は絶対に許せないだろう。
きっと、彼女は俺を息絶える瞬間まで、憎む。
ああ。
大嫌いと言われただけで、こんなに呼吸が苦しいのに。
もう、彼女の涙は見たくないのに。
そんなことを思うなんて。
俺、が、
壊 れ て い く
変 わ っ て い く
そ れ は、 恐 怖。