六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
夕方、部屋に帰ったあたしを待っていたのは、
清良の詰問だった。
結局あのあと、あたしは泣き疲れて蔵の中で眠ってしまい、
なんだかのどかな夢を見てしまった。
「……で、何があったの?」
「何がって……?」
下手なごまかし笑いは通用しなかった。
清良はあたしの顔をのぞきこむ。
「瑛と喧嘩したでしょ」
「えっ?……別に……」
「嘘つけ!
じゃああいつの頬が腫れてたのは何でよ?」
思わず「あっ」と、声が出てしまった。
清良はそれを聞き逃さない。
「ただ事じゃないでしょ、アンタが人を叩くなんて。
しかも瑛もボケーッとしてたし。
怖くてツッコめなかったんだから!」
「あ、あは、あれねぇ……
どーにも腹が立つ事言われてさ……」
「なんて?」
「それは、ちょっと……」
言葉を濁すと、清良はキッとあたしをにらんで。
ぺシッ。
軽く、頭を叩いた。