六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
『お姉ちゃんは……誰?』
『あたし?あたしは……まりあ』
『……おれは、あきら』
『!!』
やはり、この子は。
小さい頃の瑛さんだ。
瑛さんは、紫の瞳から涙を流し、
ぐちゃぐちゃの顔をしていた。
『お父さんとお母さんは?』
『いない……』
『はぐれたの?一緒に探そうか?』
手を差し伸べるけど、
瑛さんは全身で拒絶するように、膝に顔をつけて動かない。
『はぐれてない』
『じゃあ……』
しつこいあたしに噛み付くように、瑛さんは大声で怒鳴る。
『殺された!!』
『え……っ!?』
『父上はっ……、【夢見姫】のせいで殺されたんだ!!』
『!?』
なに……?
今、なんて言ったの……?