六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


意識が戻ってくる。


「大丈夫か!?」


目の前には、オーリィの顔があった。


あたしは倒れたらしく、彼の腕の中で床に座っていた。


「…………」


足下に落ちていた本を、もう一度手にとる。


ガンガンと痛む頭で、ぼんやり考えた。



伊奈との戦いで知った。


前の首領とは、瑛さんのお祖父さんの事だ。


そして、お父さんの彰さんは、

叔父さんの滋という人に……殺された。


『父があんな目に遭っても、

こうして、一族の者として生きるしかない』


そう言った彼の言葉の意味を。


どうして今まで、見ないふりをしていたんだろう。




『ある占い姫』


とは、もしや……。



ううん、もうわかっている。


もしかしなくても。


彼のお父さんや、家族を追い詰めたのは……。




タン。


頭上で、階段を降りる軽い足音が聞こえた。


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