六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「本気かいな」
「あぁ……。
お前を殺してでも、そいつはもらっていく」
……これは、現実なんだろうか。
あたしを無視して、舞台は先に進んでいく。
「……まりあ」
不意に、瑛さんがあたしの名を呼んだ。
彼の視線は、あたしが持っている本に注がれていた。
「……知ったのだろう?
俺の両親の事を……」
「あたし……」
「使い魔が教えてくれた」
「アキちゃんが?」
するり、と瑛さんの肩に銀色の物体が現れた。
それは、彼と同じように、知らない顔をしたアキちゃんだった。
「こいつは、お前が真実を知ってしまったら、
すぐに俺に知らせるように、仕込まれていた。
今まで可愛がってもらって、申し訳ないと言っている」
「アキちゃん……」
アキちゃんは目を合わさず、瑛さんの首に寄り添う。