六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「17」
「そうなんだ!
じゃあ、同い年だね!」
「もうすぐ18。
学年は1つ上だ。
敬え」
「…………」
進行方向を向いたままの横顔は、本当に綺麗なのに。
何でこんなに、意地が悪いんだろう。
残念な人……。
いやいや、めげないぞ。
「あの、あれって何ていう武器なんですか?
小さい矢みたいな……」
「……苦無(くない)の事か?
あれは矢じゃなくて、手裏剣の一種だ」
「あぁ、手裏剣の……!
岡崎さん、忍者の子孫ですもんねぇ!」
話が弾みそうな予感に声が高くなると、
岡崎さんはこちらをにらんで「シッ」と息を吐いた。
「あ……すみません」
「お前……自分が置かれてる立場、わかってるのか?」
岡崎さんが呆れた顔で言う。
後ろの席からは、太一と清良が楽しそうにはしゃぐ声が聞こえてきた。