六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「貴方のお父様を追いつめた、
“ある占い姫”って、やはり……」
「だから、お前の母の事だ。
さっき、そう言っただろう。
父は、お前の母の予言のせいで……」
瑛さんは、そこで言葉を切った。
唇が、指先まで、細かく震える。
ただの、夢じゃなかった。
やっぱりあれは、本当に過去にあった事だったんだ。
「あー、話し合おう、うん。
とにかく、それをしまい」
「良いから……渡せ!!」
「!!」
瑛さんは突然、オーリィに襲いかかる。
握ったままの苦無で、彼の喉元を狙った。
「っ、アホか!!」
オーリィはあたしを抱きしめて、本棚の上に跳ぶ。
「やめぇや!!」
「うるさい!!」
オーリィの足元に、何本も苦無が刺さる。
彼はヒラリヒラリと、本棚の上を跳び続けた。
「あかん、まりあ、ここで待っててや」
オーリィがあたしを、床に下ろす。