六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
囚われて
「嘘でしょ……!?」
清良の声が響く。
燃える蔵が見える。
皆で、懸命にその火を消す姿も……。
何故か、あたしはその一部始終を空から見ている。
皆に話しかけたいのに、声が出ない。
「すんません……!
急すぎて……なんも、できんかった」
オーリィが皆に頭を下げる。
何とか火を消して、全身真っ黒になった皆は、
呆然と立ち尽くしていた。
「嘘だろ……姉ちゃん……」
「瑛が、連れ去ったなんて……」
太一と清良が、へたりと地面に座り込んでしまった。
「すまない……僕の油断のせいだ」
留衣さんが、苦しい声を出す。
「琴さんが来てから、瑛の気配がおかしかった。
だから、結界も強化して、なるべく早く帰そうとした……。
まさか、こんなに容易く連れて行かれるとは……」
まさかは、こっちのセリフだ。
そんな気配を感じて、いきなりあんな提案をしたの?