六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
じゃらり、と太い鎖の音がした。
目を開けると、古い木の天井が視界に入る。
「…………?」
まだ、夢の続きを見ているようだ。
体がだるい。
ゆっくりと起き上がると、右の足首が重い事に気づく。
「何これ……」
右足首には、鉄の足枷がされていた。
裸足の右足を動かすと、冷たい音がした。
じゃらり。
「……夢……?」
ぐるりと辺りを見回す。
板張りの床に、窓もふすまもない、木の壁。
「……!」
胸が途端に冷たくなっていく。
ふすまの代わりに、目の前にあるのは……。
鉄格子だった。
一瞬、迷う。
自分がいるのは、鉄格子の中なのか、外なのか……。
しかしあたしは、思い出してしまった。
この鉄格子に、見覚えがある事を。
立ち上がってそちらに行こうとするが、
足枷が邪魔で、あたしは無様に転んでしまった。