六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「わかってません……」
「…………」
「わかるわけ、ないじゃないですか。
いきなり家族と血が繋がってないとか、
実は超能力があるとか、
命を狙われるとか言われたって……
ついこの間まで、普通に暮らしてたのに」
思わず、ため息が出てしまった。
あの誕生日の日から何日か経つが、全く納得できていない。
だって、自分に、他人とは違う特別な力があるなんて、未だに信じられない。
あたしは何も変わってないんだ。
予知夢を見た事もないし。
「……音羽さんに会えば、実感が沸くかもしれないと思うんですけどね……」
「音羽さん、か。
兄と呼べば良いのに」
「だって……。
会った事もないんだもの……」
「…………」
あたしにつられて、岡崎さんまでため息をついた。