六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「自分の運命を受け入れろ」
「あたしはっ、何もしてない!
殺される理由なんかないっ!」
「……理由なく殺される者は、いくらでもいる。
それがたまたま、今日までは他人事だったというだけ。
何もしていないだと……?笑わせる。
そなたが生きているだけで、傷つく者がいるのも知らずに」
「あたしが……?」
わけがわからない。
滋は乱暴にあたしの服の胸元をつかんだ。
「このペラペラの服は、いくらした?
この美しい髪はどんな薬品を使った?
そなたが当然のようにしている事は、
全て誰かから労力を搾取し、何かを汚染している」
まぁ、そんな事を言ってもわからないか、と滋は手を離す。
反動でよろけたあたしは、彼の足下に転んだ。
頭上から、冷たい声が降ってくる。
「ただそなたは、【夢見姫】の力を持っている。
それが理由だ」