六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
【夢見姫】の力……。
「また、それなの……?
あなた達は、その力で何をしようというの?」
「……この国を、我ら一族のものにする」
「え……っ」
「我等はいつも、時の指導者の影となって働いてきた。
しかし、もう主と呼べるものはいない。
もう、この国を治められる者がいない」
伊奈も憂いでいた。
この国は、混乱していると……。
確かに、絶対的な指導者はいない。
「星によれば、やっと我等が表舞台に立つ時が来たという。
我等がこの国を治める日が来たのだ」
「そんな、どうやって」
「それは、美合孝太郎と同じ手を使ってだ。
違うのは、そなたを生かしておくか、殺すかという事」
あたしの力で、
予言と奇跡を交互に起こし、人心を掌握するというわけか。
伊奈はあたしを表に立たせ、
自分は裏で操るだけのつもりだった。
しかし滋は、自分自身が指導者になろうとしている。